地下のワインセラーに新しい壁を築き、その向こう側へ大切な瓶を隠す。井戸の底へシャンパーニュを沈める。古い埃や蜘蛛の巣まで使い、そこには何もないように見せかける。 第二次世界大戦中のフランスワインをめぐっては、そんな逸話が数多く語られてきました。 暗い地下蔵、足音を忍ばせる造り手、壁の前を通り過ぎるドイツ兵。物語としては鮮やかです。しかし、隠されたワインの歴史を本当に理解するには、秘密の壁だけを見ていては足りません。 なぜワインは狙われたのか。占領軍は、ただ奪っただけだったのか。造り手たちは一枚岩で抵抗した ...