ボルドーの「五大シャトー」の一つとして知られるシャトー・ムートン・ロートシルト。その名からは、揺るぎない名門、完成された伝統、何世代にもわたって変わらない格式を思い浮かべるかもしれません。 けれども、その歴史を人の歩みに沿ってたどると、見えてくるのは「変わらないもの」よりも、むしろ節目ごとに下された大胆な選択です。 1853年、ナタニエル・ド・ロートシルト男爵は、ポイヤックのシャトー・ブラーヌ=ムートンを競売で取得しました。1922年には、20歳の曾孫フィリップが運営を引き受けます。彼は瓶詰めの仕組みを変 ...