大西洋に浮かぶマデイラ島と、琥珀色の酒精強化ワイン。両者は同じ「マデイラ」という名を持っています。 けれども、この一致は単なる産地表示ではありません。山が海へ落ち込む急斜面、火山に由来する土壌、畑へ水を運ぶレヴァダ、樽を赤道の向こうへ運んだ船、そして熱と酸素を避けるのではなく味方につけた熟成。島で重ねられた選択のすべてが、ワインの名の内側に折り畳まれています。 マデイラ・ワインは、しばしば「航海中の偶然から生まれたワイン」と語られます。 確かに海は、その個性を形づくった大切な舞台でした。しかし、ひとつの樽 ...