ポートワインの故郷を思い浮かべると、深い色のワインや、河口の町ポルトに並ぶ熟成庫が先に浮かぶかもしれません。けれども、その物語の出発点は海辺ではありません。 大西洋から内陸へさかのぼり、山々に囲まれたドウロ川上流域に入ると、岩の斜面に幾重もの畑が刻まれています。ここが、ポートワインの原料となるブドウを育てるドウロ原産地呼称地域です。 その風景は、自然がそのまま残ったものではありません。 湿った西風を遮る山、夏に乾く谷、砕けやすい片岩、川へ落ち込む急斜面。ブドウ畑には不向きにも見える条件に、人びとは石を積み ...