ワインの棚の前で、味の説明より先に一枚の絵へ目を奪われたことはないでしょうか。 葡萄の房、動物、人物、幾何学模様。小さな紙片に置かれた図像は、産地や生産者名を伝えるだけでなく、まだ栓を抜いていない一本に想像の入口をつくります。とりわけ、毎年異なる芸術家が作品を寄せるラベルは、一本のワインを「その年にしか存在しないもの」として強く印象づけます。 しかし、芸術家ラベルは最初からワイン文化に備わっていた習慣ではありません。 瓶詰めと流通の形が変わり、印刷技術が広がり、生産者が自らの名で一本を世に送り出すようにな ...